吹雪手帖その107「2011年個展への道(6)」
Date : 2011/04/02 Sat

吹雪手帖その107
「2011年個展への道(6)」

吹雪大樹写真展「ユージュアル_エブリデイ」の制作ですが
5月1日の搬入まであと一ヶ月となりました。

まず、撮影の終了時期についていろいろ思案したのですが
いま現像が上がっているロール132までの中から
今回の個展の作品をセレクトすることにしました。

すでにそこから5本ほど撮っているのですが、
きっとこれからもこのスタイルで撮り続けるのは間違いないので、
いま撮影している部分はまた来年ということになります。
自分が生き続けている限り人生が続くように、
ホルガでの僕の作品づくりも切れ目なく続いていくのです。

おっと、話しが横道にそれました。

こないだ印刷した大量の縮小版写真を
アビィの事務スペースで、ああでもない、こうでもないと、
チマチマ並べていたのではラチが空かないので、、、

20110401-1.jpg
自宅の床にドバーッと並べて検討に取りかかりました。
20110401-2.jpg
カルタ取り大会か神経衰弱ゲームのようです(笑)
欲しい写真がどこにあるのか探すのも一苦労。

目標20枚ということで取りかかったのですが・・・

ワケわからん→もうヤメ→やっぱ気を取り直して。。。

というサイクルを何度か繰り返したのちに・・・

20110401-3.jpg
とりあえず40枚まで絞りました。
ひと壁あたり、5枚x2段という展示プランですね。

しかしこうやって実際に紙にしたものを並べてみると、
今回の展示で表したい「流れ」の感じには、
上下2段の展示方法は不向きだと判り、
ここからさらに絞り込んで24枚にしました。
四つ切りサイズで壁1面に6枚ずつ収まる具合です。
なんとかなってきました!

このあとはiPhotoを使って最終的なセレクトを行います。

20110401-4.jpg

いったん絞った24枚の写真も、
保留になった写真と入れ替えたりしていき、
並べ方のいろいろなパターンを考えていきます。

こういうのはちょっとした違いで大きな変化が現れます。
作業の途中がどういう並びだったか、
後から思い出せない事も多々ありますので、
いいなと思った順番はそのまま保存したりして、
どんどんバージョン違いが出来上がっていきます。

それと時々、会場で流す予定の音楽をBGMにして
選んだ写真をスライドショーにして再生してみたり、
「展示のテンション」の確認も僕の作品に欠かせない作業です。

隣り合わせにするのには、いっけん関連がなさすぎる写真が
実はスムーズに繋がる事だってあるのに気付きます。

そして今回は展示の並びとセレクトが写真集にも反映されます。
写真集は見開きの関係で若干順番を変えなければなりません。

20110401-5.jpg

実際の出来上がりのサイズに印刷したものも併用して
さらに熟考を重ねて行くわけです。

出来上がった!と思って安心せずに、
その翌日以降も繰り返し見直して、
なにか引っかかる所がないか考えていきます。

その引っかかりが全体の写真に対して、
単に違和感を生むだけなのか、良い刺激を与える効果であるのか、
そういう見極めも大事ですね。簡単なことではありませんが。

セレクトはまだまだ完成しませんが、
それでも今から大きく変化する事はないので、
ここまで来ればあとは展示物や入稿データを作るだけ!

今年の個展は早くも安全圏に入った・・・のだろうか?(笑)
吹雪手帖 > 2011年個展への道
吹雪手帖その106「2011年個展への道(5)」
Date : 2011/03/26 Sat

吹雪手帖その106
「2011年個展への道(5)」

個展「ユージュアル_エブリデイ」の撮影もそろそろ大詰め。
ロール134まで撮影して、ロール132まで現像&スキャン完了!

写真の調子はなかなか好調をキープしているのですが
いつまでたってもキリがないのでセレクトを始めました。

2112枚の写真から2度ほどセレクトにかけて残った129枚を
小さく印刷して並べたり入れ替えたり減らしたり。

20110326-2.jpg

最終的には20〜24枚ぐらいまで絞ります。
・・・絞れるのか?(笑)

昨年の「豆腐とビール」は大中小3パータンのサイズで70枚ほどを
幸福感を伴う比較的ハッキリとしたストーリーを乗せて展示しました。
僕が目指していた「映画のように表す写真」というモノの
完成形の1つとして成果を残せたように思っています。

なので、今年はもう少し毛色を変えて、、、
変えるというか、、、自分の初期の頃の作風と、
現在ホルガで取り組んでいるやり方をMIXさせた、
そういった感じのまとめ方を考えています。

DMのデザインも進めています。
これは手持ちのプリンタで作った見本です。

20110326-1.jpg

例年はフライヤー的な紙で作っていますが
今回は大判ハガキで厚めの紙。ドッシリいきます。
切手を貼って友達に送ったりとかあまりしないので、
どっちも表面みたいなデザインにしました(笑)
もう少し細かい所を吟味して印刷に出します。


んで、今年も自分で勝手に写真集を出版します。

とりあえず中綴じのページ割の見本です。まだ真っ白。
20110326-3.jpg
今年は前回よりも大きく、A4サイズで作りますよ!!
(この見本はA5サイズなんですが、笑)

20110326-4.jpg

ページ内の写真レイアウトもいろいろ考えます。
本のタテヨコも検討事項の1つですし、
乗せる写真の大きさや位置も、ちょっとしたことで大きな変化が。

今回、展示写真のセレクトと作品集の制作は
相互にリンクして動かしていく事柄なので、
まあ普通に考えると「とってもタイヘン!」かもしれないですが、
吹雪的ポジティブシンキングで考えると「一石二鳥!」です。笑。

この写真集にスライドショーとドキュメント映像を収録した
特典DVDをセットにして1冊1500円の予定!です(でも未定)

お楽しみにっ!!!
吹雪手帖 > 2011年個展への道
吹雪手帖その104「2011年個展への道(4)」
Date : 2011/03/09 Wed

吹雪手帖その104
「2011年個展への道(4)」

さてさて、前回の記事から数週間が経ちました。

撮影のほうは相変わらず続いています。
いまのところ3月末か4月アタマぐらいまで撮るつもり。
撮影本数は135本目を超えました。
最終的には2300枚ぐらいになりそうです。

去年開催した「豆腐とビール」は
僕にとって過去最高に撮りまくった個展でしたが
それでも64本だったので、今回はほんとうに、
何かに取り憑かれたように撮っているのが自分でも判ります。

もともとの僕は、いかに少ない撮影枚数で、
いかにたくさん展示するかを(=当たりをドンドン出す)
自分の中で競っているような思考回路がありました。

その頃から比べると、取り組み方がけっこう変わったと思います。
「ドンドン撮って、当たりもガンガン出す」という感じ。
個展が何回でも出来そうなアタリ写真の山から
さらに身を削る思いで絞った写真を見せる・・・そんな気分です。

でも実は、昨年の夏が終わる頃までは、
何かと手間のかかるホルガを使って
こんなに激しいペースで撮っていたわけではないのです。

これにはやはり、昨年後半にあった、
僕自身の心境の変化が大きく関係しています。

ギャラリー運営前半の激戦、夏のホルガエキスポ、
撮影旅行引率などなど、いろいろと溜まった疲れが
秋になって一気に噴出し、著しく体調を崩しました。

得意の自転車通勤も、ペダルを漕ぐ事さえままならず、
それどころか自宅から最寄り駅まで徒歩10分間が歩けません。
途中でまったく動けなくなってタクシーを呼んで
アビィへ出勤せざるをえなくなるという始末・・・

秋の個展ラッシュの運営を控え、
僕がアビィを不在にする事が許されない状況もあり、
これはたんなる疲れではなさそうな気配だと感じて
病院で検査してもらうと、食道にデキモノがあると。

年齢的にたぶん違うと思うけど、
悪いものでないとは言いきれない。
そんな、よからぬことを医師から告げられて。。。。

もし悪い結果だったら、5月の個展を待たずに
この世を去ってしまう場合もある。。。

そのあたりから、撮影枚数が猛烈に増えていきました。
いま僕が生きて目にしているこの光景を残さなければと・・・。

そのあと精密検査をしたのですが、
それがちょうど39歳の誕生日だったことも
なおさら僕を掻き立てることになったのだと思います。

精密検査の結果は、幸いにして最悪のコトを免れ、
いま、身体の中から心配事は去って、
毎日いつも疲れ気味(笑)なのを除けば、おかげさまで健康です。

お酒もほぼ飲まなくなって、体重も少々減ってしまいましたが、
「写真をするということは自分が生きている事そのもの」だと
あの時に感じた気持ちは心に残り続け、
そしてこれからも強く僕を動かしていくのです。

そんな心境の変化が、今度の個展の写真たちにも
少々垣間見えてしまうかもしれません。
でもそれが、新しいスタートになるのだと感じています。

20110309.jpg

では。
吹雪手帖 > 2011年個展への道
吹雪手帖その102「2011年個展への道(3)」
Date : 2011/02/16 Wed

吹雪手帖その102
「2011年個展への道(3)」

吹雪大樹写真展「ユージュアル_エブリデイ」の進捗は、
現在もなお撮影とスキャンを続行中。。。

 >撮影したフィルム:125本(2000カット)
 >スキャンしたネガ:112本

普通の人ならデジカメでも1年かかって撮らない枚数に(笑)
もちろんまだまだ増えます(汗)

今までの個展と今回が大きく違うところは、
いままでやらなかった「645判・横位置」で撮っているということです。

20110216-1.jpg

2006年の個展「素晴らしき世界」から
僕はホルガのスタンダードである6x6判をやめて
645判縦位置での制作に専念しています。

645判で撮る理由は書き始めると長いのですが、
いちばんの目的は「ホルガ特有のノスタルジック感の軽減」です。

ホルガレンズの特長である周辺のボケ・流れ・ケラレが
6x6判だと顕著に現れすぎるのがイヤで、
645判にして両サイドを削ってしまおうということなのです。

「じゃあ、なんでホルガを使うの?」ということなんですが、
ホルガ写真に共通した「なにか懐かしい感じ」という
一方通行なイメージを自分の作品から拭い去るための方法なんです。

もちろん645判にしてもけっこうレンズの特長が残ります。

でも、ホルガの645判はカメラを正位置で構えると、
(多くの中判カメラがそうであるように)縦位置の写真になります。

人間の眼というのは左右の方向には注意がいきやすいですが
上下の方向にはさほどそれが働きません。

そのため、ホルガレンズの特長ばかりが目立つことなく、
しかし隠し味的に、後から効くボディブロー的に、
ホルガであることが必要である写真になります。

もちろんこれまでも645判の横位置で撮った事もありますが、
左右に現れる「ノスタルジック感」が気になって全部ボツ。
縦位置の写真と雰囲気や空気感が合わないんですよね。

そういった理由で昨年の個展では横位置の質問があっても
「それはやらない」と言っていたのですが、この変わり様(笑)

実は今までさんざん縦位置で作品を発表していてナンですが、
僕、元は映像制作の人間なのでホントは縦位置が苦手なんです。
当たり前ですがテレビや映画は横位置ばっかり(笑)
横位置の世界で基礎を考えてきたので縦はどうも・・・なんです。

映画は作者が決めた時間ごとに1つ1つのカットが流れ去ります。
1つのカットの中で注視させたいものは多く盛り込めない。
その代わりに、次々とカットを変えて観客に判断させます。

しかし映画のようにたくさんのカットを
写真集や写真展で使うわけにはいかないし、
そもそも写真を見る時間軸は観客が決めることなのです。
10枚を10秒間で見てもいいし、10分間で見てもいい。

なので、縦位置よりも断定感の薄い、
客観的に見てもらえる横位置の世界で、
観る人の思考をじっくりと張り巡らせてもらえたら・・・

そういう画作りを心がけ、構図にも注意し、
左右に現れるボケや流れに気よつけつつ。。。

ノスタルジックに丸々おんぶされた写真を撮らぬよう注意して
日々作品撮影に励んでおります。

懐かしい雰囲気の写真を撮りたいとか、
ホルガの効果で現在を過去のように見せたいとか、
もう僕はそういうことがしたいんじゃなくて、
ホルガで今の自分が生きている事を撮って、
そこから自分のストーリーを表したい。

もちろん、どう感じるかは観る人が決めることであるわけですが。
実際、去年までの作品と、表面的な見た目はそんなに変わらないかもしれない。
けど、僕はそう思って作りたいな、、、と。

20110216-2.jpg

撮影は続行中ですが、セレクトとレタッチも並行して進めています。
去年の秋に、僕の身に降り掛かった災いのような事も
「ユージュアル_エブリデイ」の世界に影響を与えた気がします。

そのあたりは次回にでも。。。
吹雪手帖 > 2011年個展への道
吹雪手帖その101「2011年個展への道(2)」
Date : 2011/02/02 Wed

吹雪手帖その101
「2011年個展への道(2)」

久々の吹雪手帖&個展への道です〜
前回の掲載が11月5日でしたので、
なんやかんやであれから三ヶ月ほど経とうとしております・・・

吹雪大樹写真展「ユージュアル_エブリデイ」の制作状況ですが、
その後も地道に作業や撮影を続けていますよ〜!

まず、2006年の個展「素晴らしき世界」から
苦楽を共にしてきたMyホルガ(5代目の愛機)が
とうとうシャッター不調でご臨終・・・

しかしみなさんもご存知の通り、ホルガの写りにはけっこう個体差があります。
制作の途中の段階でカメラを替えてしまうのは悪い影響も・・・
ということで・・・

20110202-2.jpg

壊れたホルガからレンズの部分を取り外し、
新しいホルガに移植しました!これで写りに変化はありません。

で、これが僕のNEWホルガ!

20110202-3.jpg

本体を新しくするにあたって、
ストロボ内蔵だったのを、ストロボなしのタイプに変え、
小型軽量外付けストロボのヒカル小町を取り付けました。
これで内蔵ストロボの問題であった光量不足を多少補えます。
(内蔵ストロボの公称はGN10ですが、たぶんもっと小さい)

また、僕のツイッターのほうではボチボチ書いているのですが、
今回の個展は645フォーマット横位置で制作しているため、
カメラを縦向きに構えても撮影しやすいように木製グリップをつけてあります。

いろいろ外付けパーツをくっつけたせいで、
なんだか電人ザボーガーみたいになってしまいましたが、
これだけゴツくても全然軽くてヘッチャラです。さすがホルガ(笑)

撮影のほうは、今年に入ってからペースを緩くしていますが、
昨年の夏から年末にかけては、おおよそ1週間に5本ぐらいのペースで
やたらめったら撮りまくっておりました。

この写真は、ある時の現像待ちフィルムたち。
20110202-4.jpg
個展用に撮った全部のフィルムではないんですよ。
これでも全体のほんの一部です。

フィルム代や現像代もかなり大変ですし、
こんなに撮ったって全部が展示できるわけではありません。

しかし、僕のように「日常で」撮って、
「虚構を組み立てる」タイプの制作スタイルというのは
「自分が何かを感じたとき」を「たくさん撮る」ことが
やはりとても大事だと思うのです。

昨年の個展「豆腐とビール」
でも64ロールを撮影しましたが、
今回はそれを軽く上回って、現段階でロール101までいきました。
その他に未現像のフィルムがまだたくさん控えていますが(汗)
それでも3月ぐらいまでは撮り続けるつもりです。

今までの取り組みでは見えて来なかった事が
この大量撮影の果てに、必ず僕の目の前に現れると信じています。

しかし、日々の業務や昨年秋の体調不良などが重なって、
こんなに撮りまくっているのに、2010年末の時点で
現像済みフィルム90ロールほどがスキャンできないまま年越しという事態に・・・

90本x16コマ=1440カットです。
これはなにか手を打たないと・・・
(しかもスキャン待ちネガは刻々と増えていくのです)

というわけで、スキャン作業の効率アップを目指す事にしました。

いま僕が使っているスキャナはEPSONのGT-X900です。
8x10フィルムまで取り込める上位機種なんですが、
付属のフィルムホルダーの使い勝手が芳しくなく、
昔のスキャナで使っていたホルダーを使っていたのですが、
これが1コマスキャンするたびにセッティングが必要で
たいへん効率が悪いわけです。

なので、自分で使い勝手の良いフィルムホルダーを作りました!

じゃーん!
20110202-5.jpg
といっても、厚紙で作っただけの簡易ホルダーです(笑)
しかし、スキャンのピント調整などいろいろ考慮して作ってあります。
特長はスリーブが3列一度にセットできるところ。

20110202-6.jpg

いちど全体をプレスキャンして、各コマごとにトーン調節を行い、
あとはバッチスキャンをかければ、相当な時間短縮になります。

これが予想以上に便利でカンタンでした。
今年になってから、家にいる間のちょっとした空き時間に
1本、2本とスキャンをコツコツ続けてゆき、
90本あった未スキャンネガが現段階で残り3本になりました!

撮るだけ撮りまくって、それで結局、画にできなかったら
本末転倒になるところでしたが、なんとかなりました。

いまは撮影と並行してセレクトに取りかかっている所です。
今回は昨年のような明確なストーリーはありませんが、
やはり全体でドドっと感じてもらうような内容です。

いつものようなフワッと優しい写真ばかりではなく、
むしろ今年の個展用にはそういう写真をあまり撮っていないので
近年の作品と比べるとやや重い内容になるかもしれませんが、
それでもやっぱり落としどころは・・・ってカンジですかね〜

僕は映画を作っていたころも、現場で撮影している時よりかは、
最後の仕上げの編集作業がいちばん大好きだったので、
個展に向けてこれからどんな「ウソ」を組み立てていけるのか楽しみです。

20110202-1.jpg

頑張ります〜!
吹雪手帖 > 2011年個展への道