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吹雪手帖その104「2011年個展への道(4)」
Date : 2011/03/09 Wed

吹雪手帖その104
「2011年個展への道(4)」

さてさて、前回の記事から数週間が経ちました。

撮影のほうは相変わらず続いています。
いまのところ3月末か4月アタマぐらいまで撮るつもり。
撮影本数は135本目を超えました。
最終的には2300枚ぐらいになりそうです。

去年開催した「豆腐とビール」は
僕にとって過去最高に撮りまくった個展でしたが
それでも64本だったので、今回はほんとうに、
何かに取り憑かれたように撮っているのが自分でも判ります。

もともとの僕は、いかに少ない撮影枚数で、
いかにたくさん展示するかを(=当たりをドンドン出す)
自分の中で競っているような思考回路がありました。

その頃から比べると、取り組み方がけっこう変わったと思います。
「ドンドン撮って、当たりもガンガン出す」という感じ。
個展が何回でも出来そうなアタリ写真の山から
さらに身を削る思いで絞った写真を見せる・・・そんな気分です。

でも実は、昨年の夏が終わる頃までは、
何かと手間のかかるホルガを使って
こんなに激しいペースで撮っていたわけではないのです。

これにはやはり、昨年後半にあった、
僕自身の心境の変化が大きく関係しています。

ギャラリー運営前半の激戦、夏のホルガエキスポ、
撮影旅行引率などなど、いろいろと溜まった疲れが
秋になって一気に噴出し、著しく体調を崩しました。

得意の自転車通勤も、ペダルを漕ぐ事さえままならず、
それどころか自宅から最寄り駅まで徒歩10分間が歩けません。
途中でまったく動けなくなってタクシーを呼んで
アビィへ出勤せざるをえなくなるという始末・・・

秋の個展ラッシュの運営を控え、
僕がアビィを不在にする事が許されない状況もあり、
これはたんなる疲れではなさそうな気配だと感じて
病院で検査してもらうと、食道にデキモノがあると。

年齢的にたぶん違うと思うけど、
悪いものでないとは言いきれない。
そんな、よからぬことを医師から告げられて。。。。

もし悪い結果だったら、5月の個展を待たずに
この世を去ってしまう場合もある。。。

そのあたりから、撮影枚数が猛烈に増えていきました。
いま僕が生きて目にしているこの光景を残さなければと・・・。

そのあと精密検査をしたのですが、
それがちょうど39歳の誕生日だったことも
なおさら僕を掻き立てることになったのだと思います。

精密検査の結果は、幸いにして最悪のコトを免れ、
いま、身体の中から心配事は去って、
毎日いつも疲れ気味(笑)なのを除けば、おかげさまで健康です。

お酒もほぼ飲まなくなって、体重も少々減ってしまいましたが、
「写真をするということは自分が生きている事そのもの」だと
あの時に感じた気持ちは心に残り続け、
そしてこれからも強く僕を動かしていくのです。

そんな心境の変化が、今度の個展の写真たちにも
少々垣間見えてしまうかもしれません。
でもそれが、新しいスタートになるのだと感じています。

20110309.jpg

では。
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