吹雪手帖その119「2011年個展への道(16)」

吹雪手帖その119
「2011年個展への道(16)」
さてさて・・・
前回の「個展への道」から数週間が経ちました。
来月の個展は新規撮影を伴わないので
いつもより準備のペースはノンビリしていますが
それでもイロイロ必死で作業しておりますよ・・・
まずは前回のセレクト作業で採用になった写真を
ネガから再びスキャンし直してレタッチを施していきます。
しかし、ホルガの写真と言えども侮る事なかれ!
いいかげんにスキャンとレタッチをしてはいけません。
おもいっきり高解像度でスキャンしてみると、
ホルガのレンズが曖昧ながらも驚くほど細かい部分まで
目の前の世界の様子を捉えている事が判ります。
小さいウインドウの中にある赤い枠の部分だけでも
100%で表示するとこれだけの情報量があります。

20110714-1.jpg
ホルガ写真の曖昧さを充分に引き出すには
きめ細かいスキャンとレタッチが不可欠というわけです。
ちなみに、僕が作品を作っていく過程でのチカラ配分を考えると、
撮影は2割ぐらい。のこりの8割がセレクトとレタッチです。
しかし撮影2割といってもカンタンにはやってません。
中判を使うホルガで2200枚です。
デジカメじゃないですよ。フィルムです。
ただでさえ使いにくいホルガでひたすら撮っていく。
そんな大変な撮影に取り組んでもまだ2割です。
「現実の複写」である写真を「作品」に変えるには
撮影後の過程がとても大事だと僕は考えています。
シャッターを押して撮影した時点で
写真が完成していると思ったら大間違いだし、
そういう写真で満足していたら、
その先にある世界は見られないわけです。
(ま、あくまでも僕が思う話しですよ、笑)
と、話しが脱線しましたが・・・
スキャンとレタッチが終わったら、まず展示物より先に、
今年2冊目となる写真集の出版に向けて作業を進めます。

20110714-2.jpg
写真集は見開きですので、展示の順番そのままだと
繋がりや流れ方が悪いこともあります。
実際の写真集のページの大きさで写真を印刷して
パソコンと紙の両方を使って検討を重ねます・・・
写真集の表紙は前回のとは感じをガラっと変えて
写真を全面で見せる感じにしてみます。
これはレイアウトしてるとこ。

20110714-3.jpg
実寸大の見本を作ってさらに検討していきます。

20110714-4.jpg

この表紙も無数にバージョン違いがあってね・・・笑
表紙は前回と同じくあとから本文にくっつける仕様です。
写真集本文も簡易的ですが色校正します。

20110714-5.jpg

20110714-6.jpg

今回は写真の部分だけ固めてチェックし、予算を節約(笑)
本気レタッチのデータ、すべてバッチリOKでした。
展示告知DMも刷り上がりました!

20110714-8.jpg

いつもの横長アビィDM2枚分の大きさです。
とにかくデカくてすみません。
ウチのDM置き場でもハミ出してます(汗汗)
あとは、展示物の出力とハレパネ加工作業、それから、
写真集本文の印刷本番入稿と、表紙関連の作業、というあたりで
だいたい完成ということになると思います。
あと3週間チョイですね・・・頑張ります!!
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先日、「ユージュアルエブリデイ」のDM写真を撮った場所で
去年と同じように名前の知らない花が散っていました。

20110714-7.jpg

思い出してみると、たしかに同じ梅雨の時期です。傘もさしてる。
去年は秋にいっぺん死にかかって、運良く死に損なって、
だから1年ちゃんと巡ってきたんだな~と思います。
まあ、1つの個展に向けて撮っていた写真が
こんなに長いあいだ引っ張られることになるとは
その時点では考えてもいませんでしたが(笑)
身体がしんどくて、お金もなくて
大好きなお酒すら飲めなくなってしまったけど、
生きてるだけでほんとうにありがたいのだと感じます。
毎日写真を撮って、毎週展示して、時々は個展もして、
充分幸せじゃないですか。
愛しいものも、判らないものも、
生きている限り、僕は撮り続けたい・・・
そう思う日々です。