吹雪大樹写真展
日は光

2017年8月30日(水)〜9月3日(日)
12:00〜19:30 / 入場無料 / 月火休廊



10年前、僕はたった三畳半のワンルームマンションで暮らしていました。人生のどん詰まりで引っ越してきた部屋です。古びて薄汚い部屋でしたが壁一面に大きな窓があって、そこから差し込む光を見るのが毎日の楽しみでした。

曇り空の日に引っ越した翌朝、一番最初にこの光と出会ったとき「ああ、僕はこれで救われたんだ」と心から喜びが溢れたことを覚えています。

あれから10年。どん詰まりの日々も過去の出来事になりました。しかし、自分自身も年齢を重ね、今の暮らしの中でも良いことや悪いことが繰り返され、思うようにいかない日々に疲れることもあります。

近々、ちょっとした手術も控えているし、あの光に出会った時の気持ちをちゃんと思い出そう・・・と、その頃に撮った写真たちを久しぶりに引っ張り出して、何度目かの個展として見直すことにしました。

写真の中にある10年前の光。それは光の化石というべきものでしょう。けれどそれは、光の速さで10年ぶん離れた宇宙のどこかでもう一度見ることが出来るんじゃないか?

この写真が失われても、僕が滅んでも、あの光は今も宇宙を突き進んで消えない。その事実に、あの日の光に感じた喜びとはまた違った、なにか安心するような気持ちを僕は感じるのです。


●展示写真について
2006年〜2007年にかけて撮影していた写真です。いちど個展として過去に発表したものを再構築しました。焼き直しではありません。僕にとっては最高築という気分です。余分なものがすっかり無くなって芯の所だけが残りました。あの時ほんとうに伝えたい事は何だったのか、10年かけてやっと理解できました。ようやく自分の作家人生の第1チェックポイントに到達できたのかなぁ。できてたらいいなぁ。そんな想いと共に再び世に出します。カラープリント20点を展示予定です。


●作者プロフィール
吹雪大樹(ふぶきたいじゅ)/1971年・大阪生まれ
ギャラリー・アビィ代表 / ホルガ会主宰
日本写真映像専門学校映像学科卒業

1999年からトイカメラ「HOLGA」を使った写真表現活動を始める。国内外でのメディア取材、個展・グループ展多数出品。



●会場風景