川本尚美・森美香 展

「もこ 〜その狭間にあるもの〜」


2008.3.4 - 3.9
PM12:00 - PM7:00
(月曜休廊)

慌ただしい日々の暮らしの中で生活していると、
ふと自分自身の存在が薄れて埋もれゆく感覚に襲われることがある。
他者から見られている私は確かな存在なのか。
また、私が見ている他者の存在は確かなモノなのか。
白と黒にわけると、隠れてしまうグレーの存在。
全てが明確でなく、曖昧なものがあるからこそ、
そのものを目を凝らして見ようとする。そうする行為そのものが、
隠れるグレーの存在を意識することになるのではないだろうか。
時間経過が写し出した写真の中には、
私たちの表情やしぐさ、身体の動きや形、
そして私という存在が確実にいる。


私たち自身が撮影対象となり、私たち自身から発せられるふとした仕草や表情をバルブ(長時間露光)撮影という技法を用いて写真に焼き付けています。
長時間カメラの前に立つ自分。しかし、その写真に写った自分はハッキリと輪郭が表れずに、ぼんやりとしており、不確かな存在として写っています。しかしそれはどちらも私であり、私という存在を示すものなのです。
その矛盾こそ、私という存在を際立たせているのです。空間に溶け込みそうな曖昧な私たちと、私たちを包み込んだ周りの空間の匂いを感じ取って欲しいと思います。

A2サイズのデジタルおよび銀塩プリント10数枚を展示予定。


作者より

●プロフィール
大阪成蹊大学芸術学部4年/川本尚美・森美香
ユニット名『てくてく』

私たちは毎日一歩ずつてくてくと地道に活動をしています。光の残像を使ったワークショップを二人で体験したのをきっかけに、自分たちでも光を使って描きたいと思い、2006年7月に「てくてく」ユニットを結成しました。
てくてくでは「楽しんでやる」ことを第一とし、友だちを誘ってその場で思いついたことを即興で全身を使って光を描いたり、ときには光以外に影の残像などを写真におさめています。
最初は光をメインとした写真を主に撮影していましたが、撮る環境を変えてみたり、写す物を光と限定せずに、人物やその影なども撮影対象にして作品制作を行ないました。その内に、撮影対象物が光から人物に重点を置いて撮影する表現に変化しています。
しかし、てくてくとして活動を始めたときから、残像という時間の経過を写真に焼き付ける行為は変わっていません。
今回は「てくてく」での活動を発端とした展示となり、従来とはまた違った味付けで作品を表現します。


(会場風景)