作家列伝2011(その7)

ギャラリー・アビィ作家列伝2011(その7)
○イグレック・ヌマタさん(今期3回出展)
東京からいつも参加頂くイグレック・ヌマタさん。
実はアビィの第1回企画展「廃景」から参加頂いている超ベテラン!
いつも廃墟写真の出展だけなので
年に1、2回しか参加頂けなかったのですが
今年は廃墟以外にも作品展示をしていただき、
みごとオールスターズ戦初出場となりました!
ーまずは自己紹介をお願いします

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イグレック・ヌマタです。
青森県上北郡野辺地町の出身です。
就職のため上京し、のちに転勤で1998年から
約二年ほど兵庫県尼崎市に住んでました。
その後東京に戻り現在東京都練馬区在住の41歳です。
作家名は学生時代のあだ名をフランス語読みしたものです。
ご覧の通り、チョイワル日本人オヤジです(笑)

ー写真歴は?
2003年から表現としての写真を始めました。
もともとはオリンパスの10倍ズームのデジカメで
ネイチャー写真を撮っていたんです。
本職は工学部出身のコテコテ理系のエンジニアで、
写真とは全然関係ない人生でしたが、
会社員の傍らフリーで音楽のセミプロ活動をしており、
主にTuba奏者・指揮者・編曲者として活動していました。
 
が、大学に社会人入学したことにより音楽活動が難しくなり、
またちょうどその頃PENTAXの初代デジタル一眼レフを購入して、
ある日偶然見つけた某廃墟探索サイト(現在は消滅)を見て
「廃墟はピクチャレスクなのでは?」と感じ、それ以来廃墟を撮りはじめました。
フィルム写真はデジタル一眼レフに慣れた2005年頃から始めました。
いきなり中判カメラ(PENTAX 67Ⅱ)のリバーサルフィルムです。
デジタルの手軽さからは得られないフィルムの緻密な再現性は、
デジタルとともに手放せない存在になっています。

ーアビィに参加し始めたキッカケは?
吹雪さんから初回の「廃景」出展へのお誘いメールを頂いたのがキッカケです。
吹雪さんとは、もともと私がグリーンアンバー名義で運営している
廃墟写真サイトで交流がありましたが、
以来全ての「廃景」に必ず出展するキッカケともなりました。
今やアビィ伝統の企画展となった「廃景」の
初回に参加できた事はこの上ない幸運でした。
「廃景」への出展は、廃墟作品を制作する人間にとっての
ライフワークのような価値を感じています。

ーよく使うカメラは?
デジタル一眼レフはFujiFilmのFinePix S3Pro。
フィルムの中判カメラPENTAX 67Ⅱが勝負カメラ(笑)です。
山奥と廃墟しか撮らないので、ほとんどの場合この2つのカメラを
同時に持ち歩いています。

ー好きな撮影モチーフやスタイルは?
いままで廃墟写真を多く出展しておりますが、
実はネイチャー系の風景写真を撮るのが一番好きで、
ポートフォリオとしても一番多いです。
私にとって廃墟写真とは、大自然によって支配されている地球上で、
結局は大自然の支配下に過ぎない人類の活動により発生した、
「自然風景の副産物」がもたらす風景なのです。
ワタクシの定義する「自然風景の副産物」とは
「人工物」という言葉を言い換えたものに過ぎず、
人類による産物を指します。
人類とて所詮は大自然の支配下に過ぎない、
という戒めを含んだ表現として使っています。
また、「ありのままの光景を撮る」との基本姿勢があり、
PLフィルタとNDフィルタ以外のフィルタを使う事はないです。
 
今までポートレートは避けて来たので、未だに人物描写は苦手です。
しかし最近シュルレアリスムに傾倒し始めると、
廃墟作品でも作品に人物が存在する必要性を
感じる場合もあるようになりました。
その結果が、今回の出展作「カナリア」です。

ーそれでは今年の出展作品からお気に入りを1つ!
「色とり撮り展」の作品です。

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「Naked color」
青空の写真は一昨年ぐらいに撮ったものですが(笑
使いどころで迷っていたお気に入り写真たちが、
色というテーマをもらって急にうまく繋がった感じです。

・・・・
エンジニアであり音楽家であり写真家!
目の覚めるような極彩色の廃墟写真で覚えている方も多いと思います。
いつも出展事項の連絡の際、展示作品に対する自らの考察を
何十行もビッシリと書き綴って送ってくださいます。
作品をつくってなにを表現するのか、真摯に考えることの大切さを
いつも教えてもらっている感じがします!
それでは、イグレック・ヌマタさんの出展作品にご期待ください!