作家列伝2009(その10)山田タカオさん

「ギャラリー・アビィ作家列伝2009」その10
○山田タカオさん
センスというのは、方法論を学んで実践する事で
誰しもが一定のレベルまで到達できる感覚だと思います。
しかしその上を目指すために必要な「才能」は
後天的な努力ではなかなか達する事の出来ない領域です。
山田さんは、その「才能」があると、
僕が間違いなく感じる作家さんのひとりです。
– まずは簡単なプロフィールを

yamada.jpg
山田タカオです。兵庫県の生まれ育ちで、もうすぐ25歳です。
アビィには3月末の「X-PROCESS展」から参加しました。

– あれは「度肝を抜かれる」という言葉が相応しい作品でした。
 並々ならぬ才能を感じますが、写真は長くやっておられるのですか?
実はまだ撮り始めて2年ほどです。2007年にホルガを買ったのが最初です。
普通じゃない面白い写真が撮れると聞いて、興味がわいて買ったんですが、
使ってみると案外普通の写真でつまらない・・・
その時、普通の写真屋に現像を出してたので、
プリントが当たり前だからか面白くないのかもと思い、
梅田ロフトのトイカメラフェアーで教えてもらった
西宮のFRAME*さん(写真店)に行きました。

– アビィ出展のキッカケは?
そのころ雑誌で読んだクロスプロセスの色調に興味があり、
一般のお店じゃ受け付けてくれない処理ですけど、
FRAME*さんならやってくれるということもあって行ったんですね。
そしたらそこで、アビィのクロスプロセス展のフライヤーを勧めてもらって、
じゃあこのさいだから写真展に参加してみようと!

– 思い切ってもらえてよかったです。
 僕にとってもほんとにいい出会いです。FRAME*さんにも感謝!
 それにしても、あの独特の写真を撮っているカメラは何ですか?
最初の頃はホルガが多かったですが、
いまはトイデジのVQ1005の出番がいちばん多いです。
スナップや記録用にはナチュラも使いますが、
やっぱりVQ1005がいちばん楽しいです。

– 山田さんの作品の色調やトーンは如何にして・・・
カメラそのものの写り方もありますが、後からパソコンで画像補正をして、
自分の世界観を作品に加える作業をしています。
人の感情を動かしたいっていうのが自分の表現の根底にあって・・・
そのチカラが写真にはあると思うんです。

– それからタイトルの付け方のセンスが抜群です。
タイトルを決めるのにもすごくチカラを入れます。
強い写真に強いタイトルでダブルパンチで挑みたい。
辞書でいろいろな言葉を調べて、紙に筆ペンで書いて
そこからいつも決めています。

– 筆ペンですか?
筆ペンです(笑)
- 今期の自信作を1つ挙げて下さい
トイカメラ写真月間の作品です。

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「衝動」
タイル状に敷き詰められたL判サイズの写真。
心を鷲掴みにされるようなドッキリするタイトル。
これまで3回の出展回数ながら強く印象に残る作家さんです。
漠然とではなく、確信を持って作品づくりをするところに
彼の才能の奥深さを感じてしまいます。
山田さんの今後の作品に皆さんもご期待ください!