作家列伝2009(その3)井上正詞さん

「ギャラリー・アビィ作家列伝2009」その3
○井上正詞さん
井上さんは2008年の「ソラリストの詩3」から
アビィ企画展に参加頂いています。
当初は写真だけの出展でしたが途中から絵も描くようになり、
絵と写真を対比させたシリーズが好評です。
皆さんにもすっかりお馴染みの作家さんですね。
– まずは簡単なプロフィールを

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井上正詞です。京都の生まれ育ちです。41歳になります。
– 井上さんの作品の起源をお伺いしたいと思います。
いろいろ紆余曲折の果てに・・・なんですが、
子供の頃からちょこちょこと絵を描くのが好きでした。
それも、船とか飛行機とか電車の運転席の絵ばかり(笑)
高校生の頃はワンダーフォーゲル部に所属して
登山に明け暮れていた時期もありました。
20代後半から30代にかけては絵画教室で油絵を描いていて、
それはまあ3年ほどでやめてしまったんですけどね。

– そこからどういうキカッケで写真を?
屋久島への旅行(縄文杉への登山)で
APSのカメラを持って行ったのが最初です。
その時はピンボケばかりで大失敗だったんですが、
それ以降は登山のとき、記録用にデジカメで写真を撮るという感じで。
2006年に富士山のご来光を撮影できたのが嬉しくて、
友人達にその写真を見せると評判もなかなか良く、
もっといろんな人に見て欲しい!と思うようになり
写真の展示をできるギャラリーを探し始めました。

– 地元の京都にもいろいろギャラリーはありますが?
京都は個展中心のギャラリーが多いし、
やり方も判らないのでナカナカ・・・
大阪ならもっと気軽にできるところがないかと探していると、
あるギャラリーでアビィさんのことを教えてもらって、
「ソラリストの詩3」にその写真を展示しました。

– たしかに初期の作品は山や森をモチーフにしたものが多かったですね。
 そして今や井上さんの十八番となった
 「絵と写真の対比」シリーズが発表されるわけですが・・・
 一度やめたはずの「絵」に回帰した理由というのは?
「ナツいろ3」の時に、20代の頃に自分が描いたヒマワリの絵を
なんとなく自宅のベランダに置いて、それを撮った写真を展示したんです。
自分は子供の頃から好きでずっと絵を描いてたけど、
ちゃんと勉強してみるとそれほど才能もないと感じてやめちゃったんですが
なんだかその、写真に撮ると自分の絵が意外といい感じに見えて(笑)

– そして「shuffle展vol.1」に繋がるんですね、
そうなんです。自分の撮った写真を元にして、
想像を膨らませて絵を描いて対比させたら面白いかな~と。
写真と絵で展示する場合って、別々の人が作る事が多いじゃないですか。
僕はそれが両方できる。ならばコレだ!って感じです。
発表に際しては期待も不安もイッパイでしたが、
蓋を開ければおおむね好評で、安心しました。

– 今後も絵と写真のスタイルで続けて欲しいですね。
個展をするなら、絵の作品、写真の作品、そして対比シリーズ、
この3本柱でやりたいと考えていますよ!

- では今期の自信作を1つ挙げて下さい
やはり自分にとってターニングポイントになった
「shuffle展vol.1」の作品ですね。


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人間はその人生の中でいろいろなことを学び、行動し、経験します。
それがいちどは挫折した事であっても、その後の取り組み方によっては、
自分の人生をより豊かにするエネルギーへ変える事も出来ます。
井上さんの作品はまさにそんなカンジ。
いろいろな経験や知識・技術の裏付けがあるからこそ、
いっけんハチャメチャに思える独特の世界観に必然性が生まれ、
作品になんともいえない説得力が宿るのだと思います。
いまいちばん個展に近い作家さんかもしれません!
井上さんの今後の作品に皆さんもご期待ください!