吹雪手帖その137「2012年個展への道(11)」
Date : 2012/12/06 Thu

吹雪手帖その137
「2012年個展への道(11)」

さてさて、今年3回目の個展搬入まであと数日・・・!

撮影自体は7月から取り組んでいましたが、
先月の東京個展がけっこうな大仕事でしたので
セレクト、レタッチ、レイアウトなど実際のことは
11月中旬に差し掛かってから考え始めたという短期決戦!

しかしもうすでに展示物の準備は完璧!
壁面へのレイアウトも綿密に考えました!
いまは写真集製作に必死!!ってカンジです(汗)

そして今度の個展はインパクト勝負!
中身はカラッポ!なんのメッセージもありません!

しかし、なんだか妙な自信があります。
こういう時が実は表現者として危ない時なんでしょうか?
でも・・きっと面白い物を見てもらえると思います!

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素材はなんと1万枚!そこから150枚にいったん絞り、
1つ1つ大胆かつ繊細にフォトレタッチを施していきます。

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さらに50枚削って残った100枚がセレクト元に。
全部印刷して実際に並べて検討を重ねます。

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毎日のように並べ替えては試行錯誤。
写真の入れ替えも何度か行い、壁面レイアウトが決定!

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A2サイズ28枚、A0サイズ2枚の大判出力は
合計430MBのデータ入稿!!送信するだけでも大変!

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大判印刷の仕上がりを待つ間に、販売用写真集の制作!

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ページの構成、冊子の仕様、印刷業者のリサーチなど!!

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展示そのものと違って、写真集はあとあとまで残るモノですから
いい加減なコトはできませんので、ギリギリまで検討します!

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そうこうしてると、展示用のプリントが仕上がってきました!
130万画素の写真をA2やA0に伸ばすって狂気の沙汰??

でも、7月のPARALLEL WORLDの時、VQ写真をA3に伸ばしてみて
「VQ写真は大きくした方が面白い」って直感したんです!
そのほうがVQの画質の危うさと不思議さを際立たせられる感じ!

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けれど引き伸す事によって生じる「粗さ」が加わってはいけません。
モトの「画質が悪い感じ」を「キレイにそのまま」引き伸すという
とっても不思議なコトを実現できました!大満足のプリントです!

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大判プリントの展示方法も今回は工夫してみました。
他のギャラリーで見た方法をヒントに、マグネットを用います。
壁に刺した画鋲とマグネットでプリントをサンドイッチする作戦。
強力に固定でき、タルんできても貼り直しが容易!

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2Lサイズの販売用プリントにもサインを入れてあります!(笑)

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写真集の束見本を作って、ついに本番の製作に!

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今回は完全に手作業で製本します!ヒマでしょ!(笑)

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こんなかんじで出来上がりました!

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初版は限定50部!よろしくお願い致しますー!

ということで、フVQ大樹写真展「浴びるように眠りたい」は
来週12月11日〜16日、ギャラリー・アビィで開催!
130万画素の大判プリントとブキミな夢の光景のブチギレ競演!
みなさまにお楽しみ頂ければ嬉しいです〜!
ご来場お待ちしております〜!
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吹雪手帖その136「2012年個展への道(10)」
Date : 2012/12/01 Sat

吹雪手帖その136
「2012年個展への道(10)」

11月の東京個展が終わって、
来週でそろそろ一ヵ月後!?って感じですが、
再来週には僕の今年ラストの個展が始まってます!

撮影自体は7月から進めてきましたが、
東京の個展が終わるまでは頭の切り替えがなかなかできず、
実際にセレクトやレタッチに着手したのは、ほんの3週間前(笑)
準備できるのもあと1週間なので急ピッチで作業してますヨ!

前回の吹雪手帖でも書きましたが、
今度の個展はトイデジの代表的機種である
VQ1015シリーズを使って撮った作品です。

昨年暮れまではトイデジ否定派だった僕が、
いざ使ってみると見事にハマッてしまいまして、
吉田泉さんとユニット展「PARALLEL WORLD」まで開催しました!

自分の価値観の1つが180度変わった出来事なのですが、
「PARALLEL WORLD」の時は2人で1つの物を作るテーマでしたので、
両者の作風を歩み寄らせるという作業が必要でした。
どちらかというと、僕が相手に近づける要素が強かったです。

では、今度は自分本来の作風でVQを使ったらどうなるだろう?
完全に否定していたトイデジになぜドップリ浸かってしまったのか?
いったい自分はそれだけの魅力をVQの何に対して感じているのだろう?

そのコトを知るためにもVQ個展は外せない!と決断したワケです。

しかし、これまでの僕のHOLGA作品のキャリアの中には
ちょっと同じようには加えにくい、という感じもあり、
せっかくなので変名でやってみようというアイデアが浮かびました。

けど、結局その名前を見て僕のことだと判らないといけない・・・
そして考えた結果が「フVQ大樹」というNEWネーム(笑)
フブイキュー大樹です。これは判りやすい!?

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タイトルは「浴びるように眠りたい」と名づけました!

これは僕がよく冗談で「寝てるとき以外ずっと眠い」と
言ってるのも理由の1つ(笑)なんですが、
VQの写しだす曖昧なビジュアルっていうのが
僕にとって「眠る前に見る夢」のような感覚があるんですね。

自分はまだ起きていて、これは夢だと判っていても
あたかも事実のように脳内で体験してしまう夢。

シュールというほど作り込まれた雰囲気ではなく、
しかし現実とあきらかに細部や状況が食い違った世界。
そういう雰囲気がVQ写真のビジュアルに合うと思うんです。

ではそのビジュアルの根源がどこにあるかというと、
僕が中学生、高校生の頃に話しは遡ります。

その頃、けっこう偏った読書に没頭していて、
特に読んでいたジャンルが「怪奇幻想文学」でした。
夢野久作とH・P・ラヴクラフトは何度も読みました。

そういう小説を読んでいて脳内に想像される風景というのが、
眠る前に見る夢=VQの写真・・・
そんな感じになっているのではないかと思ったわけです。

そう考えると、これまでの個展でも「まどろみシネマ」
昨年の3部作も随所にそういうビジュアルを使ってるじゃないかと
改めて気付かされたりもします。

だから、これまでの自分の作品と
さほど異なるものではないのかも・・・という気がしてきました。
いやもう、ここまできたらフVQ名義でやりますけど(笑)

現在の準備は、写真集の諸々が少し心配という感じで、
展示物自体はすべて出来上がってますからいちおう安全圏!
ラスト1週間は写真集制作のアレコレで振り回されそうです。
って、なんか個展のたんびにそんなこと書いてますね、汗。

具体的な制作の模様とかは来週の吹雪手帖で
ドドーンとお知らせしたいと思います!

12月11日〜16日の日程で開催いたしますので乞うご期待!!
みなさま、どうぞよろしくお願いいたします〜!
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吹雪手帖その135「2012年個展への道(9)」
Date : 2012/11/16 Fri

吹雪手帖その135
「2012年個展への道(9)」

さてさて、前回の「個展への道」から5ヶ月ほど経ちました!
12月にも何か個展をする!って感じで書いておりましたが、
ええ、やりますとも!12月に!

しかしその前に!
あの記事を書いた直後に!
なんと!(!多すぎ)

東京四谷のクロスロードギャラリーさんから
昨年の個展3部作を再構成した内容での
企画個展のお話しを頂きまして、
先々週、先週と、東京での初個展となる
「時の流れのどこかで」を開かせていただきました!

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ツイッターやフェイスブックでは
事の成り行きを細かくお話しをしていたのですが
アビィ日誌でもちゃんとまとめておきたいと思います。

そもそもは、何かご意見がいただけたらと思い、
個展写真集が出来上がるたびに
関東のお知り合いの皆様へお送りしていたのですが、
ルーニー247フォトグラフィーの篠原さんと杉守さんから
同ギャラリーの姉妹店であるクロスロードギャラリーにて
ぜひ作品を紹介したいと、うれしいお招きを頂いたのです。

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クロスロードギャラリーの所在する四谷といえば
東京の中でも数々の写真ギャラリーが並ぶ地区。
フィルムホルガの集大成としてまとめた昨年の3部作なら
日頃から見る目の鋭い皆様にも納得して頂けるのではないかと思い、
僕も即答でお話を受けることにしました!

なので、5月、12月と余裕のスパンで設定していた個展ロードですが
11月が新たに入って、まさか最後の二ヶ月に連続で個展!ドッヒャー!
とは言うものの、すでに発表済み作品の再構成ですから楽勝やーん!

と、思ったのが甘い考えだったのはすぐに判りました(笑)

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2600枚の中から3回に分けて展示した63枚を
1回の個展で20枚前後に削るセレクトがとっても大変!!
いちどカタチにしたものですから1枚1枚に作者なりの意味づけがあり、
客観視しなければと思っていても、なかなか主観から抜け出せません。

そして63枚から必死でセレクトした20枚を
ディレクターの杉守さんに見ていただいたのが9月のこと。
すると驚くことに、僕のセレクトから10枚が落ちて、
僕が不要と思った残りの43枚から12枚が入り、
合計22枚のセレクトが出来上がりました。

ええ!その写真、いらないんですかー!
で、その写真が入るんですかー!
と、すばらしい体験ができました・・(笑)

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それは、企画個展ということでプリント販売を意識した僕が、
「売れそうな写真」を多く入れてしまい、
作品としての主題がボヤけてしまった・・・
つまり「観る側に媚びた」セレクトをやっていたことに他なりません。
気付かせてもらえてよかったです。ほんとうに危ないところでした!

結果的に、ビジュアル的な派手さは確かにないかもしれませんが
ストレートに心に届くシンプルな写真が残りました。

そんなある夜、自宅で見本を広げて並び順を考えていると、

   毎日繰り返される、当たり前の「いつものこと」
   でもそれがいつか無くなってしまうものならば
   せめて写真として留めておきたい・・・


そんな気持ちが胸の中に湧いてきました。

その時、クロスロードギャラリーさんのホームページをふと開くと、
杉守さんの書いてくださった僕の個展紹介の記事に
なんと僕が今思ったこととまったく同じ文章が載っていました!

杉守さんがセレクトした物を見て僕が感じたことが
セレクトしてくださったご本人の考えと一致したわけで、
これは僕も大きな自信と手応えを得る出来事のひとつとなりました。

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また僕としては珍しく、額縁とマットによる「正装」での展示となり、
プリントもインクジェットではなくデジタルタイプCで発注しました。

プリントのサイズもベストなものを探りつつテストを繰り返し、
二転三転してギャラリーにはご迷惑をかけてしまったのですが、
最終的に22枚すべてを六切サイズで並べる事にしました。

自分としては今までになく小さいサイズでの展示です。
でも、手でそっと抱えて大切に眺めるような大きさ、
そこが気に入ってこのサイズにしてみました。

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展示は11月1日から始まり11月10日まで。
2週間のうち、木・金・土だけの週末展覧会。

僕は大阪を基盤に活動していますので、トイカメラ関係以外だと
まだまだ東京では無名に等しい作家ですが、
それでもネットでのクチコミが広がって
いろいろな方がお越し下さり、
様々なご意見・ご感想をいただきました。

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最後の2日間は僕も上京しまして、
お久しぶりの方や初めましての方とたくさんお話しをして、
(しかも関西からお越し頂いた方も・・・ありがとうございます!)
自分のつくった作品が自分の手を離れて世の中へ歩き出し、
本来の意味での「作品」となったような・・そんなことを感じました。

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ほんとうにかけがえのない展示になったと思います。
このような素晴らしい機会を与えてくださった篠原さんと杉守さん、
お忙しい中、会場にお越し頂いたみなさま、お話しできたみなさま、
お菓子を頂いたり、写真集やプリントをお買い上げいただいた皆様、
ほんとうに、ほんとうにありがとうございました〜!

これからも何か新しい作品をひっさげて上京できるように頑張ります!

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そして休む間もなく次の個展準備に取り掛かります。

7月のユニット展
で大暴れしたVQカメラと再びコンビを組んで、
僕の写真だけでトイデジ個展をやります!

フVQ大樹写真展「浴びるように眠りたい」
12月11日〜16日まで!

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東京個展の内容からは打って変わって、
今度はブチ切れた内容で迫ってみたいと思います!
詳しくは次回の記事でお知らせします。
乞うご期待っ!!
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吹雪手帖その134「2012年個展への道(8)」
Date : 2012/06/06 Wed

吹雪手帖その134
「2012年個展への道(8)」

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すっかり日にちが経ってしまいましたが
5月13日で個展「焦げる風景」が無事終了しました。

2週間で268名の方々にご覧頂きました。
大型連休などでお忙しいところ、
たくさんのご来場ありがとうございました!

そして写真集をお買い上げくださった皆さまにも
改めて御礼申し上げますー!

もー、個展のあとが忙しくって忙しくって!

上半期一番の大仕事「それ活」も
おかげさまで無事に終わりまして、
個展のコトを振り返る余裕がやっとこさ出来ました。

まー、その前に、去年の個展3部作も
自分の中でまだまだ消化が終わってない気もします。
なんせ1年間で正味4回も個展した具合なので
(5月、8月、12月、5月・・・)
そりゃ忙しかったか・・・

でもそんなぐらいでヒーヒー言ってたら
上には上がいますので(帝塚山の人とか、笑)
もっと高いステージを目指せるように
いろいろな事柄において体力をつけなければと思います。

で、さて、「焦げる風景」のことです。

昔から僕の作品を見てもらってる方には
たぶん懐かしい感じがする作風に見えただろうし、
ここ2、3年の作品から見てもらっている方には
去年の3部作を経て新境地開拓!という感じだろうし・・・

僕が主題としていなかった
「エロい」という評判が先行してしまったので、
受け取られ方は様々な具合でしたが、観る人それぞれに
興味を感じてもらえるポイントがたくさんあったようで、
そういうモノを作れたコトが嬉しかったです。

ま、期待してもらっていた味付けとちょっと違っていたにしても、
出てきた料理に文句はつかなかったような気がします。

でもそれは言い換えると
ちょっと平凡な出来映えだったのかもしれないですが・・・

南船場の写真魔人の面々には
「今まででいちばん写真に近づいた」と言われました。

僕がこれまで作品の根本としていた
明確な流れやストーリーをやめて、
映画のように作る写真ではなく、
写真を写真として展示したからだと思います。

なので、2006年から自分の写真表現として取り組んできたことを、
全部白紙にしてやり直してしまったことになるのですが、
このシリーズに関しては、素材の物量に起因する労力以外は、
創りだす事自体になんの苦労も感じず、
むしろたいへん楽しく気持ちよく
自信を持って取り組むことができるようです。

それがいいことなのか悪いことなのか、
もう先が見えてしまったのか、まだなんとも言えませんが、
しばらくこの世界を追究していかねばと思います。

デジタルホルガの普及?も、この個展の途中から、
いろいろな人が取り組みはじめたハナシを多方面から伺いまして、
なんにせよ人に影響を与えられたことは素直に嬉しいと思います。

でも、ホルガが便利になったと思うか?
デジカメが不便になったと思うか?

もともと何に取り組んでいたかで
飽きられ方がぜんぜん違うと思いますし、
何かしらのレタッチをすることが前提の世界になると思うので、
使い続けられる人は少ないかもしれません。
そしてそれは、フィルムホルガでも同じ事ですね。

けれど、ホルガを使い続けて生き残った人には
自分にしか描けない世界を見せてくれる確約があります。
そこはデジタルホルガでも変わらないことだと感じます。

というようなわけで、自分にとっての
「デジタルホルガとフィルムのホルガの使い分け」が
ハッキリ判りました。

ここ最近の写真表現の延長線上はデジタルホルガで進め、
そしてノスタルジィと幻想を追究するのがフィルムホルガ、
そんな感じなんじゃないかと思います。

実はフィルムホルガでの撮影も先日から再開し、
まあなんて気楽なカメラなのかしらと惚れ直しているところです。
あー、我ながらアマノジャクですねぇ(笑)

次の個展は年末です。
12月11日〜16日の予定です。

内容は未定。ホルガかもしれないし、
そうではないかもしれません。
やっぱりやらないかもしれません。

とにかく、この個展を経験して、
自分が取り組むべき3つのコトを改めて認識しました。
フィルムホルガ、デジタルホルガ、そして、アレ。

やっぱり、誰かのためじゃなくて、
まず自分のためにするのが芸術なのではないかと。

それが結果的に誰かのためになったらいいんだろうな・・
最近そう思います。
吹雪手帖 > 2012年個展への道
吹雪手帖その133「2012年個展への道(7)」
Date : 2012/05/06 Sun

吹雪手帖その133
「2012年個展への道(7)」

アッという間に本日個展6日目!
通常なら最終日ですが、今回は2週間開催なので
ちょうど折り返し地点という事になります。

すでにたくさんの方にご来場&写真集お買い上げいただきました。
みなさま、まことにありがとうございますー!

昨夜、作家トークをUSTREAMアビィチャンネルで放映しました。
現在制作中のセミドキュメンタリーの一部も交えまして、
デジタルホルガと今回の制作のことをお話ししました〜!
見逃した方、録画放映をぜひご覧下さいっ!!



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オッサンの独り言にお付き合い頂きありがとうございます!(笑)

吹雪大樹写真展「焦げる風景」は5月13日まで開催しています!
GWで行楽にお出かけ中の方は来週ぜひお越し下さい!

引き続き、みなさまのご来場をお待ちしておりますー!
吹雪手帖 > 2012年個展への道