塚部裕子写真展


Berenty, Madagascar 風薫る森」

2009.10.13 - 10.18
PM12:00 - PM7:00

●作者より、写真展開催にあたって

あるときわたしは、とある動物園で「ワオキツネザル」と出会い、のほほんとした雰囲気に魅せられ詳細を調べていくうち、彼らが地球上でただひとつ生息する場所、マダガスカルですでに絶滅の危機に瀕していることを知ります。

特徴的なしましまの尻尾をなびかせながら動物園でのんびりとすごすワオキツネザルの様子からは想像もできなかった厳しい現実が、わたしを動かします。

野生のワオキツネザルをこの目で見たい!

2008年10月、日本から飛行機で約16時間、遥か彼方のインド洋に浮かぶ島、マダガスカルを16日間に渡り、ひとりで旅をしました。

そこでわたしは、キツネザル達が河川とトゲの森、広大なサイザル麻のプランテーションに囲まれ隔離されたその森のなかで、ひょうひょうと他の野生動物やヒトとうまく折り合いをつけるように自分達の命をつないでいる姿を目の当たりにします。

そこに危機感や悲壮感は感じられず、まさしくキツネザル達の永遠のふるさとでした。ときおり心地よく力強い風が森を吹きぬけ、私たちを包み込むのでした。

わたしは、マダガスカル・ベレンティ保護区で撮影した写真を通じてこの世界に存在する大切な命が、ここにもあることを知ってほしいと願い、今回の写真展を開催することになりました。今日も明日もずっと、あの森で朝日を浴び続けてほしい。



●展示作品について

カラー手焼き写真プリント約24点


◇マダガスカルについて◇
東アフリカの東南に位置するインド洋上の共和制国家。島国では世界第4位の大きさで、国土の大きさは日本の約1.6倍。1960年、長く支配下におかれたフランスから独立した。公用語はマダガスカル語とフランス語。陸から1億年にわたり隔離され、人間が移住してきた時期が遅かったために、そのほとんどが独自の進化をとげた固有種の動植物である。未調査地域も多数あるため、新種の動植物の発見が今なお報告されている。

◇ワオキツネザルについて◇
ワオキツネザルは霊長目のなかでももっとも原始的なサル、原猿類に属する。マダガスカル固有種である。おもな生息地はマダガスカル南西部の乾燥した森林。両手を太陽に向けて広げ、朝日を浴びて暖をとる姿が印象的である。マダガスカルを象徴するナショナル・アニマルであるが、森林伐採、他種動植物の移入による環境や生態系の変化、密猟などにより、絶滅の危機にさらされている。

作者について

塚部裕子(つかべゆうこ)1980年 大阪生まれ

2003年 関西大学商学部卒業
2005年 写真を学び始める

現在博物館に勤務するかたわら、写真制作に取り組んでいる



(会場風景)