吹雪大樹写真展

「まどろみシネマ」


2008.4.29 -5.4
PM12:00 - PM7:00





午後のまどろみで夢を見た。

日々のスナップ写真が
デタラメに並び替わった物語。
壊れたテレビみたいな色で延々と続く。

現実の断片が夢の材料になるのなら、
日々の暮らしは
映画スタジオのようなもの。
しかも僕のは、
デジカメで撮った動かない映画。

今もまた、目を閉じれば
まどろみシネマが始まる。


●コンセプト
今回は「大量撮影時におけるデジカメの利便性」に着目して制作に臨みました。何気ない日常の景色をひたすら記録することにより、そこに垣間見える「映画のワンシーンのような瞬間=映画的写真」を抽出することが出来るのではないか?そしてその瞬間をランダムに並べ替えることにより、記録であったはずの写真にストーリーが宿りあたかも台本や絵コンテに従って撮影されたようなイメージを作り出すことができるのではないだろうか?というコンセプトに沿って撮影を続けました、この展示のための撮影は1年間で13万枚に達しそこから選りすぐった1000枚を展示します。

●「映画的写真」とは
その前後に何かのストーリーや動きが見えたり音が聞こえてきそうな光景を捉えた写真です。映画のフィルムの1コマを抜き出しただけではその映画を観たことにはならないように、映画的写真は連続して大量に観ることにより、写真なのに映画を観ているような感覚を呼び起こす1つの作品となります。これは写真1枚1枚の中でストーリーが完結したものを並べて表現する従来の組写真という手法とは違う要素を持つ表現方法です。

●タイトルについて
記録写真をデタラメに並べ替えてストーリーを作るというコンセプトを、人間が寝ている間に夢を見るプロセス(記憶の断片化と再構築)になぞらえて「まどろみシネマ」というタイトルにしました。また、作者は映像制作から写真表現に転じた経緯があり、当初からの理想であった「写真による映画的表現」を本格的に試みた展示であることの表れともなっています。

●写真ついて
撮影に使用したのはPanasonic LUMIX FZ-01という600万画素のコンパクトデジカメです。日常風景の大量撮影において、デジタル一眼レフにはない機動性と操作性の良さが大きな効果を発揮しました。また、毎日の撮影で得られる膨大なショットは1枚1枚すべてに色調整を施し、「現実の中の夢」の不可思議な空気感を与えています。

●スライドショウ
壁面展示以外の方法としてPCにて展示写真のスライドショウも上映します。これは通常のスライドショウとはすこし趣の異なるもので、オープニングやエンディングやモノローグがあり音楽や情景音が流れ、そしてなおかつ上映される度にストーリーが異なります。「フブキネマ」と呼ぶに相応しいちょっと変わった映像です。CD-ROM版を購入してWindowsやMacintoshなどのパーソナルコンピューターで鑑賞することもできます(1部950円)

●作者プロフィール
吹雪大樹(ふぶきたいじゅ)1971年大阪生まれ。
写真映像作家。ホルガ会主宰。
ギャラリー・アビィ代表
高校生の時に8ミリ映画によるドラマ制作と出会い、表現の道に入る。テレビカメラマンとして勤務する傍ら、1999年からロモやホルガなどのトイカメラによる写真表現を始め、2005年にギャラリー・アビィを開業。今回の個展はこれまでトイカメラ「ホルガ」で展開してきた作風を一変させ、初めてのオールデジタル作品となります。

●会場風景